犬僧帽弁閉鎖不全症 手術闘病記録 01|手術までの経緯

先代犬やまとの手術闘病記録です。やまとは手術から2年4カ月の間、とても元気に過ごしました。結果的に別の病(脳腫瘍)により他界しましたが、その2年間は私たち家族にとってかけがえのない日々でした。同じ病に悩まれている方にとって、少しでも参考になれれば幸いです。

手術までの経緯

やまとと同じ「犬僧房弁閉鎖不全症」のわんちゃんをもつ飼い主さまからよくメッセージなどをいただきます。みなさん、獣医さんから病気の名前を伝えられ、ものすごく悩んで苦しんで、このブログにたどり着かれて、やまとの元気な姿に希望を持てたと言ってくださいます。今のわたしたちにとって、その言葉ほど嬉しいことはないです。ありがとうございます。

やまとの闘病日記は手術の少し前から書き始めたので、それ以前の、手術までの経緯を振り返って書き留めたいと思います。

やまとは2011年4月(8歳11か月)、定期検診で心臓に雑音があると言われ、レントゲンを撮り、そのとき初めて犬僧帽弁閉鎖不全症の病名を聞きました。不安もありましたが、その頃はまだ初期の初期段階(1段階/6段階中)だったので、それから2年くらいは血管拡張剤を服用するにとどまっていました。

毎年春は狂犬病の予防接種とともに、フィラリア検査と健康診断をしていて、2013年5月(11歳0か月)の定期検診で、咳が少し増えたとこを伝え再度レントゲンを撮ってもらったところ、病状が進んでいたようで、手術をご希望であれば日本大学の動物病院を紹介しますと言われました。

心臓のお薬(血管拡張剤)は飲んでいるものの、咳が出ること以外はいたって元気だったので、「手術」の二文字を聞いた瞬間はもう何がなんだかわからなくて・・。とりあえず手術するかどうかは別として、まずは話を聞くために日大への紹介状を書いていただきました。

その日の夜、高校時代の同級生で、大阪で動物病院を開業している アーク動物病院 の池崎院長に電話をし、相談に乗ってもらいました。池崎くんとは、偶然だけれど、その年の初めに何年かぶりに会っていて同じく高校時代からの友達みんなでわが家でお鍋を食べたばかりでした。

その時にやまとの元気な様子を見てくれていたので、「今のやまとなら体力もあるし、まずは通える距離に手術の出来る施設があること。まだ比較的若くて症状も軽いこと。費用を払える余裕があること。(手術・検査費と合わせて※100万円以上かかります)この条件が揃っているのはやまとにとってはとてもラッキーだ」ということ。

「もし自分の犬が11歳で同じ状況になったら、まだ体力のある今のうちに手術する」と。獣医として、友人として、また自身もわんこの飼い主として、泣きながら話す私に言ってくれたその言葉を信じて、自分の中では手術をする方向で、前向きに考えることができました。

そして6月。やまとを連れて日大へ。

執刀医の上地正実先生に初めてお会いし、診察を受けました。結果、心肥大は少しあるけれど、咳も少なく肺もきれいで、レベルは3~4段階/6段階中くらいとのことでした。

先生の見解としては、もっと悪くなってから手術する子も沢山いるので、すぐに決めなくても良いのでは?というかんじでした。あと1年くらいは血管拡張剤だけで様子を見て、もっと咳が頻繁に出てきたり、舌が紫色になってきたり、睡眠時の呼吸が30~40回/分ほどに増えたりなど、もう少し進行してからでも遅くはないと。

「手術は成功率が100%ではないので、よく考えて」とのことでした。

どちらかというとすぐに手術をするつもりで話を聞いていたので、そう言われてまた悩みはしましたが、やはり咳をしている姿を見るのがつらくて。今以上に苦しくなるのなら、その前に治してあげたいと思ったのと、大好きなお散歩を制限されているのがさみしかったこともあり、

また、この日病院につきそって一緒に説明を聞いてくださった友人(アルパカ写真集の編集者さんで「老犬生活」なども編集されている佐藤亜矢子さん)にも背中を押していただいて、手術をお願いすることに決めました。

予約をしたのは6月末で、手術は3か月以上先の10月21日に決まりました。

待っている期間は本当に長かったけれど、飼い主の気持ちに敏感なわんこたちにとって、自分が不安がることがやまとを不安にさせてしまうような気がして。

落ち込まないように、気にしすぎないようにと、できるだけ笑って、できるだけ穏やかに、できるだけ普段通りに過ごしていました。

手術するにしても、薬だけで様子を見ていくにしても、どちらも結局、飼い主のエゴに変わりないし、自分で考えて手術を受ける人間と違って、愛犬自身が何を望んでいて何が正解かなんてわかりません。手術も100%成功するわけではないので、素人の私から無責任に手術をすすめるようなことはできません。

ただ、やまとの手術から半年が過ぎた頃、咳もほとんどなく、元気に走り回るやまとを見て、私たちにとってはこれが最善だったと思いました。

「犬僧房弁閉鎖不全症」と診断されて、愛犬のために心を痛めていらっしゃる方にとって、この日記が少しでも参考になれたら嬉しいなと思います。

※やまとの執刀医である上地正実先生は、現在は日大をご退職され、2014年8月に「JASMINE どうぶつ循環器病センター」を開院されています。やまとも術後の検査などはJASMINEにて診ていただきました。
※やまとの手術費は日大での当時の価格で、現在JASMINEでは手術・入院費で170万程度になるそうです。

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