磯沼牧場カウボーイスクール体験記は、東京都八王子市の磯沼牧場で行われている酪農体験教室「カウボーイ・カウガールスクール」に通う小学生の 息子 ”だいち” と、お友だちの ”けいたくん” との体験日記です。
大切に育てた命
4月27日。ロロの出荷の日です。トラックが来る時間を教えていただいて、子どもたちは学校と幼稚園を休ませ、みんなでロロを見送りました。
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牧場に着くと、ロロは広い分娩室にいました。今日出荷されるのはロロだけのようです。
あれ、また来たの?と、少し不思議そうなロロ。
みんなでブラッシングです。
寄ってきてくれたトモミ。トモミはロロと同時期に生まれ、けいたくんが名前をつけて一緒に成長を見守ってきた牛です。ロロともずっと仲が良かったので、心配しているのかな。。
私の中では、人見知りで、臆病で、ちょっぴり暴れん坊なイメージのロロでしたが、いつの間にか貫禄がでて、息子が身を預けてもじっとしてくれていました。
座って休憩。表情も豊かで、まだまだ、とても元気なロロです。
ロロが落ち着いていたのでみんなで寄り添って、ゆっくり触れ合うことができました。
「ほんとになんで、こんなに天使なのに。。」と、少しさみしそうにロロをなでる息子。
悲しいけれど、とても穏やかに時間が過ぎていきます。
長いまつ毛と優しい瞳。
最後まで愛らしい表情のロロです。
夕方になり、お乳が張ってきたから…と、トラックが来る前に搾乳することに。私たちも最後に搾らせていただきました。ロロのあったかいお乳。忘れません。
ちょうど搾ろうとしたときにトラックの音が近づいてきて、いっきに現実に感じました。
顔にロープをかけ、トラックへと連れられるロロ。
ロロはちょうど1年前に、こうしてトラックに乗って、大空と草原の広がる神津牧場へと運ばれ、半年間そこで元気に駆け回っていました。それを覚えていたのか、すんなりトラックに乗ったロロ。もしかすると「今度はどこの牧場に行くのかな〜♬」と思っていたかもしれません。こわい想いをせずに最期を迎えられるのなら、せめてもの救いのような気がします。
笑って見送ろうと決めていた息子も、頭から毛布を被りながら、大泣きしていました。私も泣かないつもりが、肩を震わせて泣く息子の様子に、涙が止まりませんでした。
名前をつけさせてもらって、ときどき会いに行って、それだけでもこんなに辛い。酪農家の皆さんはきっと、この何倍もの痛みを抱えながら命と向き合っているのでしょう。私たちはいつも、誰かが大切に育てた命をいただいているのだという自覚を、改めて胸に刻みたいと思います。